空調機修理|スクリューチラー|浜松市

ダイキン工業製スクリューチラーにてたまに運転が止まるとのことで点検。

この機種のスクリューチラーは圧縮機の周りに防音材が巻いてあります。

右側マフラーと呼ばれる配管が膨らんで見える部分の奥に感温膨張弁があり弁体側の不良にて低圧カットとなっておりました。

ちなみに感温膨張弁には内部均圧式と外部均圧式があります。あとで違いについて詳しく教えます。

スクリューチラーを正面から見るとこんな感じになります。

仕切り板の奥に水側熱交換器もありこちらは以前ガス漏れしたため部品交換しました。

2m近くあるとても重たい部品となります。

室外ファンが4つ上についているのですが、1つだけインバータ制御をしています。

富士電機のインバータを使っているので壊れるとなかなか厄介なんですよね。

残りの3つは、200V印加の電磁開閉器でオンオフしています。

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ちなみに感温膨張弁の内部均圧式と外部均圧式の用途と違いについて詳しく説明します。

1. 内部均圧式(Internally Equalized TEV)

特徴

  • 構造: 弁の内部で蒸発器出口圧力を直接感知して制御します。均圧は弁本体内で行われ、別途外部への接続は不要です。
  • 用途: 蒸発器内の圧力損失が小さいシステムに適しています。
  • 利点:
    • 構造が簡単で取り付けが容易。
    • メンテナンスが少なく、比較的コストが低い。
  • 欠点:
    • 蒸発器内で圧力損失が大きい場合、出口圧力が正確に反映されず、冷媒供給量が適切でなくなる可能性がある。

主な使用例

  • 小型の冷凍機やエアコン。
  • 蒸発器が短く、圧力損失が無視できる場合。

2. 外部均圧式(Externally Equalized TEV)

特徴

  • 構造: 蒸発器出口近くに別途配管を設け、その圧力を感知して均圧を行います。これにより、膨張弁の制御に蒸発器全体の圧力損失が反映されます。
  • 用途: 蒸発器内の圧力損失が大きいシステムに適しています。
  • 利点:
    • 蒸発器出口の正確な圧力を基に制御できるため、大型システムや圧力損失が顕著なシステムでも冷媒供給が最適化される。
    • 広範囲な用途に対応可能。
  • 欠点:
    • 構造が複雑で配管作業が増える。
    • コストが高め。

主な使用例

  • 大型冷凍・空調システム。
  • 蒸発器が長く、圧力損失が大きい場合。
  • 特にマルチサーキットシステムや大型の冷却装置。

用途の選択基準

項目内部均圧式外部均圧式
蒸発器の圧力損失小さい場合に適している大きい場合に適している
冷媒流量の正確性一定条件下で十分精密な制御が必要な場合に適している
システムの規模小型~中型システムに適している中型~大型システムに適している
コスト低い高い
配管の複雑さシンプル配管が複雑

まとめ

  • 内部均圧式は、小型システムや蒸発器の圧力損失が小さい場合に有効です。
  • 外部均圧式は、圧力損失が大きい蒸発器や精密な制御が必要な場合に選ばれます。

冷凍部品は様々で、これもほんの一握りの部品に過ぎません。

一つ一つの役割について詳しくなることでより深く空調機と向き合えます。

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では、スクロール圧縮機とスクリュー圧縮機の用途と違いについてお話します。

普段よくビル用マルチエアコンにて圧縮機交換しているのはスクロール式です。

スクロール圧縮機 (Scroll Compressor)

特徴

  1. 構造
    • スクロール型の固定スクロールと回転スクロールが組み合わさり、冷媒を圧縮します。
    • 回転スクロールが楕円運動(オービタリング)することで、冷媒が外側から中心部に向かって連続的に圧縮されます。
  2. 利点
    • 高効率: 部品間の摩擦が少なく、エネルギー効率が高い。
    • 低振動・低騒音: 回転バランスが良好で、静音性に優れる。
    • コンパクト: 小型で軽量な設計が可能。
    • メンテナンスが容易: 構造が簡単で可動部品が少ない。
  3. 欠点
    • 処理能力の制限: 大型のシステムや高圧縮比には不向き。
    • 冷媒の特性依存: 液戻りや異物の影響を受けやすい。
  4. 用途
    • 家庭用エアコン、冷凍機、小型の冷却装置。
    • 小~中型の空調システム。

スクリュー圧縮機 (Screw Compressor)

特徴

  1. 構造
    • 一対のローター(メスとオス)がメッシュを形成して回転し、冷媒を連続的に圧縮します。
    • ローター間で冷媒が捕捉され、回転とともに体積が縮小して圧縮が行われます。
  2. 利点
    • 高処理能力: 大量の冷媒を処理可能で、大型システムに適している。
    • 高信頼性: 耐久性が高く、長時間連続運転が可能。
    • 広い適応範囲: 中圧から高圧までの圧縮が可能。
    • 液圧縮に強い: 冷媒に液体が混入しても比較的影響を受けにくい。
  3. 欠点
    • 振動・騒音: スクロールよりも騒音が大きい。
    • 大型化: 機械自体が大型になりやすい。
    • コスト: 初期投資やメンテナンスコストが高い。
  4. 用途
    • 大型の冷凍機、工業用空調設備、プロセス冷却。
    • エネルギー施設(LNGプラントなど)や大型空調システム。

スクリュー圧縮機の内部構造

  1. ローター
    • オスローター(凸型)とメスローター(凹型)で構成されます。
    • ローターは高精度で設計され、互いに噛み合って冷媒を捕捉します。
    • 回転に伴い、ローター間の空間が徐々に小さくなり、冷媒が圧縮されます。
  2. 吸入部
    • 冷媒は低圧・低温の状態で吸入部に流入します。
    • ローターの回転によって冷媒がローター間の空間に取り込まれます。
  3. 圧縮部
    • 吸入された冷媒は、ローターの回転により体積が縮小され、圧縮されます。
    • 圧縮中、冷媒はローターとケーシング(筐体)に密閉されて漏れにくい設計がされています。
  4. 吐出部
    • 圧縮された高圧・高温の冷媒が吐出部から排出されます。
    • 必要に応じて冷媒オイルが注入され、ローター間の密閉性を高めると同時に、潤滑と冷却も行います。
  5. オイルシステム
    • スクリュー圧縮機はオイル注入型が多く、圧縮プロセス中にオイルが混入されます。
    • オイルは冷媒を密封し、ローターの摩耗を防ぎ、冷却を補助します。
    • 圧縮後、冷媒からオイルを分離するためのオイルセパレーターが搭載されています。
  6. 制御システム
    • 可変容量制御機構(スライドバルブなど)が組み込まれることが多く、負荷に応じて効率的に冷媒流量を調整可能。

スクロール圧縮機とスクリュー圧縮機の比較

項目スクロール圧縮機スクリュー圧縮機
構造シンプル複雑
容量範囲小~中型中~大型
効率高効率高負荷時に効率が良い
耐液性能弱い強い
騒音・振動低い高い
用途家庭用エアコン、冷凍設備工業用空調、大型冷凍機、LNG設備など

まとめ

  • スクロール圧縮機: 小型で高効率、静音性が求められるシステムに最適。
  • スクリュー圧縮機: 大容量の冷媒処理や耐久性が求められるシステム、工業用途で活躍。

用途に応じた選択が、システムの効率と信頼性を左右します。スクリュー圧縮機の内部構造に関しては、適切な潤滑と精密なローター設計がその性能を支えています。

またどこかのタイミングでマニアックなお話ができればと思います。

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