人との関係を大切にする

最近、独立したての職人さんと話した。
起業したてで、お金がないと言う。

分かる。
自分も、始めた頃は同じだった。

法人設立の資本金。
作業車の購入。
空調業を続けるための設備投資。

最初は、出ていく金の方が多い。
それでも一年かけて、コツコツ積み上げて軌道に乗せた。


金がないなら、信頼を作ればいい。
信頼さえあれば、お金は後からついてくる。

多くの人は、お金を先に求める。
だが、本当に大切なのは信用だ。

信用があれば、金は借りられる。
信用がなければ、金があっても相手にされない。

これは綺麗事じゃない。
現場で一番強いのは、結局「信用」だ。


借金は悪だと教えられて育った。
それも間違いではない。
ただ、事業をする上で「いい借金」は存在する。

上手く活用すれば、事業は前に進む。
逆に、使い方を間違えれば一気に終わる。
だから重要なのは、借りることではなく、使い道だ。

借金と聞くとイメージが悪い。
融資と聞くと響きはいい。
だが、やっていることは同じだ。

そして法人にとって、融資は“信頼の証”でもある。
お金を貸してくれるというのは、
「この人なら返す」と見られているということだ。

もちろん責任が伴う。
返済できなければ信用を失う。
だから自分は、借りた金を無駄にしなかった。

必ず次の仕事に繋がる使い方しかしない。
設備投資。
技術習得。
段取りと品質を上げるための道具。

“稼ぐための支出”にだけ使う。
その基準を崩さない。


そして、もう一つ大事なことがある。
得た利益を、独り占めしないことだ。

職人さんたちに還元する。
それは綺麗事じゃない。
皆で成功した方が、長続きするからだ。

一人だけ得をして、周りが苦しいと、
どこかで歪みが出る。
現場は、空気が悪くなると途端に回らなくなる。

逆に、皆が潤えば、皆が味方になる。
これは単なる優しさではない。
事業を続けるための設計だ。

自分一人が良くなるんじゃない。
大事な職人さんたちと、皆で豊かになる。
その方が強い。


金を貯め込む人間は、最後に孤独になる。
だが、金を生かして関係を作れる人間は、長く残る。

お金は、使ってこそ価値がある。
ただし、浪費ではない。
信用が増える使い方をする。

信頼を築くには時間がかかる。
一朝一夕ではいかない。
だが、一度築いた信頼は簡単には崩れない。

信頼があれば、困難が来ても越えられる。
敵がゼロになるわけじゃない。
それでも味方が増える。

それは、自分が「お金より人」を大事にしてきたからだと思っている。


お金がないことを嘆くなら、チャンスだと思った方がいい。
金がないからこそ、人との関係を大切にする。
その関係こそが、最大の財産になる。

逆転の発想で、ピンチをチャンスに変える。
それができる者だけが、最後に残る。