若いうちに苦労をしておく
「若いうちに苦労をしろ」という言葉は、
少し古く聞こえるかもしれない。
無理をするな。
効率よくやれ。
遠回りはするな。
そんな言葉の方が、今の時代には合っている。
それでもやはり、
若いうちにしておいた方がいい苦労はあると思っている。
ただしそれは、
理不尽に耐えることでもない。
自分をすり減らすことでもない。
必要なのは、
自分で考えて、動いて、結果を引き受ける苦労だ。
言い換えるなら、
“責任の取り方”を身体で覚える苦労だと思う。
失敗して恥をかく。
判断を間違えて頭を下げる。
段取りが甘くて迷惑をかける。
読みが浅くて、余計な手戻りを出す。
そういう経験は、
本や理屈では代わりにならない。
若いうちは、失敗しても取り返しがつく。
やり直す時間がある。
周りも多少は待ってくれる。
その時期に、
一度ちゃんと痛い思いをしておく。
すると後になって、
判断が早くなる。
見積りが現実的になる。
準備の密度が上がる。
そして、無理をしなくなる。
苦労は、勢いを削ぐためにあるんじゃない。
地に足をつけるためにある。
若いうちに苦労をしておくと、
年を重ねた時に楽になる。
楽になるというのは、
何もしなくてよくなるという意味じゃない。
余計なことで悩まなくなる、ということだ。
怖がる場所が分かる。
無理をしてはいけない線が見える。
力を入れるところと、抜くところが分かる。
これは、才能の差ではない。
経験の差だ。
そしてその経験は、
若い頃に“自分で引き受けた苦労”の中でしか身につかない。
苦労は、避けるものではなく、選ぶものだ。
逃げなくていい苦労。
背負ってもいい苦労。
あとで自分の力になる苦労。
それを若いうちに一つでも持てたなら、
その先はずっと強い。
強いというのは、乱暴になることじゃない。
折れにくくなる、ということだ。
だから、若いうちに苦労をしておく。
明るく、前を向いたままで。
それは将来を暗くする話じゃない。
未来を軽くする話だ。

