売り手よし、買い手よし、世間よし

三方よし。
売り手よし、買い手よし、世間よし。

この言葉を、きれい事だと思う人もいるかもしれない。
正直、それも分かる。
世の中は、理想だけで回っていない。
数字も、段取りも、責任もある。

ただ、だからこそ思う。
三方よしっていうのは「優しい話」じゃなくて、むしろ覚悟の話なんだと。

売り手よし。
これは自分が得をすることじゃない。
自分の仕事に誇りを持てるか。
自分の判断に後ろめたさがないか。
胸を張って「これで良かった」と言えるか。
結局ここが、いちばん厳しい。

買い手よし。
これは相手を持ち上げることでも、迎合することでもない。
相手の立場を理解して、必要なことを必要なタイミングで、分かる形で届けること。
相手が安心して、前に進める状態をつくること。
“相手のため”って言いながら、実は自分の都合を通していないか。
そこを常に疑う。

世間よし。
これが一番見落とされやすい。
当事者同士が納得していても、
周りから見たら筋が通っていない、ということは普通にある。
取引の透明性。
約束の守り方。
言葉の選び方。
人の扱い方。
小さなところで、信用って簡単に崩れる。

三方よしの難しさは、
「今だけ」を基準にすると忘れてしまうところ。

その場は丸く収まる。
その場は利益が出る。
その場は楽ができる。
でも、その“その場”の積み重ねが、会社の色になる。
信用の形になる。

だから私は、三方よしを
“正しさ”ではなく、“基準”として置いておきたい。

人を大事に扱う。
誰に対してもリスペクトを持つ。
簡単に言うけど、忙しい時ほど試される。
余裕がない時ほど、本性が出る。
だからこそ、そこを崩さない。

三方よしって、結局は
「自分がどういう人間でいたいか」
「どういう会社でありたいか」
その一点に戻ってくる。

目先で得をするより、
長い目で信頼を選ぶ。

それは、遠回りに見えるかもしれない。
でも私は、遠回りに見える道の方が、強いと思っている。