修理依頼を受けてから向かうまでに考えること
修理依頼で、少し難しい局面に立つとき、
現場に向かう道中で、色々と考える。
聞いている症状から、考えられる原因。
過去の似た事例。
もし違っていた場合の次の手。
頭の中では、自然と推理が始まる。
空調の故障診断というのは、
突き詰めれば、ひたすら推理していく作業だと思っている。
出ている症状から、
起きている現象を絞り込み、
可能性を一つずつ消していく。
だから考えること自体は、仕事の一部でもある。
でも正直に言えば、
現場に着く前の推理は、ほとんど当てにならない。
音も聞いていない。
実際の運転状態も見ていない。
配管も、基板も、何も確認していない。
それなのに、頭の中だけで答えを出そうとする。
その結果、
「もし直らなかったらどうしよう」
「時間がかかったらどうしよう」
そんな不安まで一緒に膨らんでくる。
不安とは目に見えない恐怖。
まだ何も見ていないのに、
勝手に消耗してしまう時間になる。
だから基本的に意識して考えないようにしている。
現場に行って、機械を見れば、
私は必ず原因にたどり着ける。
音、振動、配管の状態、制御の動き。
実物を前にすれば、
判断に必要な情報は一気にそろう。
そこからなら、いくらでも推理すればいい。
経験上、実物を前にした瞬間に、
頭の中の整理は一気につく。
それが、今まで積み重ねてきた仕事の力だと思っている。
だから、道中では無理に答えを出そうとしない。
音楽を聴いて、気持ちを整えて、
現場に入る準備だけをしておく。
考えるべきタイミングと、
考えなくていいタイミングは違う。
見てもいない機械のことで、
気力や時間を使うより、
現場で全力を使った方が、結果は必ず良くなる。
修理の仕事は、
机の上では完結しない。
答えは、必ず現場にある。
だから今日も、
着いてから考える。
結果、それが自分に合っている。
