現場の論理
私自身、華々しい学歴があるわけではない。
ただ、
自分にないものを嘆くより、
自分にできることを極める。
それだけを考えてきた。
学歴がある者は、知識に頼れる。
理論で考え、理論で組み立てられる。
それは強い。
だが、現実は理論通りにはいかない。
現場には、現場の論理がある。
机の上では見えない条件があり、
数字では拾えない空気がある。
そして、その論理を知っているかどうかで、
勝負は決まる。
職人たちと一緒に、
毎日汗を流し、昼飯を食った。
そこで学んだことは、
どんな大学でも教えてくれない
人の本音だった。
職人たちは正直だ。
うまくいかないことがあれば、顔に出る。
言葉より先に、反応が出る。
その生の反応を見続けて、
自分は少しずつ分かってきた。
人を動かすのは、正しさだけじゃない。
安心と納得だ。
人は、感情で動く生き物だ。
理屈で説得しようとしても、
心が納得しなければ動かない。
だからまず、相手の立場に立つ。
その苦労や想いを理解する。
何に困っていて、何を恐れていて、
何を守りたいのかを見にいく。
それができて初めて、
相手も私の話を聞いてくれるようになる。
これは現場で覚えた、大切な教訓だ。
上から目線で指示するのではない。
同じ目線に立って話をする。
相手の気持ちを理解してから、
自分の意見を言う。
この順番を、間違えてはいけない。
正しさを先に出すと、
相手は守りに入る。
守りに入った相手には、
どれだけ理屈を積んでも届かない。
理論は、あとから覚えた。
だが、現場の感覚には
誰にも負けない自信があった。
学歴で勝負できないなら、人間力で勝負する。
理屈で劣るなら、姿勢で勝負する。
知識で劣るなら、経験で上回る。
これが、私の生き方だ。
最後にものを言うのは、
人間としての深みだと思っている。
現場で覚えた、人との向き合い方。
汗で身につけた、実践知。
失敗で磨いた、判断力。
それが、私をここまで押し上げた原動力だった。
人より劣るものがあるなら、
それを武器に変えろ。
現場にこそ、本当の学びがある。
人の心を動かす力は、教室では学べない。
逆転の発想と、現場の経験。
この二つがあれば、人はいつでも立ち上がれる。

