空調の修理屋として
空調屋は増えた。
業務用の工事に入ってくる人も増えた。
それ自体は悪いことじゃない。
需要がある。
人手も足りない。
現場は確かに回らない。
ただ、最近よく思う。
「修理」やってますっていう業者も増えてきた。
正直、修理を軽く見ている人が多い。
エラーコードを見て、基板を替える。
部品を替える。
それで直る時もある。
でも、それを“修理ができる”と言い切るのは違う。
修理は、推理だ。
情報が足りない中で、仮説を立てて潰していく。
時間がない。
止められない。
失敗が許されない。
そういう現場で、頭を使い切る仕事だ。
この道を長くやってきた自分でさえ、
プレッシャーに潰されそうになる現場は今でもある。
泣きそうになったことも、何度もある。
「今日必ず直さないと、億の損害が出る」
そう言われて、故障診断をして、赤帽を呼んで、
その日のうちに復旧させた現場もある。
難しすぎて分からず、
配線図と向き合い続けた夜もある。
途方に暮れそうになりながら、
それでも一つずつ辻褄を合わせていく。
そして最後は、
何事もなかったかのように完了報告をする。
プロは、そういうものだと思っている。
サービス(修理)の世界では昔から
「一冷を取って一人前」
と言われてきた。
一冷とは、一種冷凍機械責任者のこと。
これは、本当に難しい。
一級管工事よりはるかに難しい。
私は1年半、毎日仕事終わり夜中の2時まで勉強した。
それでも一度落ちた。
資格を取ったからと言って、
現場が急に簡単になるわけじゃない。
でも、原理が腹に落ちる。
モリエル線図を前提に、
圧縮や膨張、熱の移動を理解していく。
もちろんそんな浅い内容ではない。
深く、より深く追求した内容になる。
この理解があると、
機械の制御が手に取るように見えてくる。
ここまで来て、初めて分かった。
修理屋としての自信は、
派手な実績じゃない。
この「裏付け」から生まれる。
プロと名乗ることは、簡単だ。
でも、裏付けがないプロは、現場で必ず崩れる。
そして困るのは、お客様だ。
だから私は、日々研鑽し、お客様視点で止められない現場を守る。
それが、本物の修理屋の仕事だと思っている。
ちなみに浜松には200社以上空調業者がいる。
だが、難しい修理もできる空調屋は両手で数えれるくらいしかいないんだ。

