慣れた作業ほど、事故は起きる
事故というのは、たいてい慣れた作業の中で起きる。
初めての作業や、難しい作業の時は、誰でも慎重になる。
手順を確認し、周囲を見て、無意識に緊張感を持っている。
だが、何十回、何百回とやってきた作業になると、
人はどうしても気が緩む。
「いつも通り」「大丈夫だろう」という感覚が入り込む。
去年、多台数の空調機洗浄を夜間に行っていた時のことだ。
作業自体は慣れた内容で、台数も多く、正直スピードも意識していた。
その時、脚立から一度、落ちた。
正確に言えば、落ちる直前、
気付いたら脚立から少し体が離れていた感覚があった。
「やばい」と思った瞬間には、もう体が持っていかれていた。
大きな怪我にはならなかったが、
もし打ちどころが悪ければどうなっていたか、正直分からない。
あの時の感覚は、今でもはっきり覚えている。
原因は特別なトラブルではない。
床の状態、脚立の位置、足元への意識。
どれも「いつもなら気にしていること」だった。
だが、慣れと疲労と時間帯が重なり、
ほんの一瞬、意識が薄くなった。
事故は、特別な失敗の時に起きるのではない。
いつも通りの作業の中で、ほんの少し注意が抜けた時に起きる。
それ以来、作業前の確認や動線、天井高に対する脚立の高さ、
そういった基本的なことを、以前より意識して見るようになった。
仕事は、続けられてこそ意味がある。
どれだけ技術があっても、どれだけ経験があっても、
事故を起こせば、現場にもお客様にも迷惑がかかる。
そして何より、自分自身が現場に立てなくなる。
慣れた作業ほど、もう一度立ち止まる。
慣れた動作ほど、あえて確認する。
それは臆病になるということではない。
長く仕事を続けるための、必要な姿勢だと思っている。
今日もまた、いつも通りの作業がある。
だからこそ、いつも通りで済ませない。
安全は、特別な対策ではなく、
毎回の基本動作の積み重ねで守られている。
そう自分に言い聞かせながら、
明日も現場で頑張っていく。

