原因が一つではない時に、どう切り分けるか
修理の現場では、原因が一つとは限らない。
むしろ、
いくつかの要因が重なって、
今の症状として表れていることの方が多い。
だから現場に入って最初に考えるのは、
「何が悪いか」よりも、
「どこから切り分けるか」だ。
一度に全部を直そうとすると、
かえって状況が分からなくなる。
まずは、
今出ている症状に一番関係が深そうな系統から、
可能性を一つずつ潰していく。
配管の温度。
冷媒系統の制御の動き。
運転の使用状況。
過去の修理履歴。
こういった基本的な情報を押さえながら、
全体の流れがどうなっているかを見ていく。
大きな方向を決めてから、
少しずつ範囲を絞っていく。
この順番を間違えると、
時間だけが過ぎて、結局何も分からないままになる。
この泥沼状態を業界用語で、
『ハマる』と呼んでいる。
最初の切り分けは、
その後の作業のほとんどを決めてしまう。
原因が複数ある場合でも、
同時に全部が壊れることは少ない。
たいていは、
一番最初に起きた異常が引き金になって、
別のトラブルを呼び込んでいる。
どこから崩れたのかを見極めることが重要になる。
数値の動き。
制御の反応。
運転条件とのズレ。
そういったところを一つずつ確認しながら、
「ここからおかしくなっているな」という起点を探す。
原因が一つじゃない時ほど、
焦って結論を出さないことも大事だ。
早く直したい気持ちが強いほど、
見えていない部分を飛ばしてしまいがちになる。
だが、飛ばしたところにこそ、
本当の原因が残っていることも多い。
遠回りに見えても、
一つずつ確認していく。
切り分けというのは、
技術だけの話ではなく、
我慢と順序の話でもある。
経験を積むほど、
近道を知っているようで、
実は基本に戻っていく感覚が強くなる。
結局のところ、
一番確実なのは、
一つずつ潰していくやり方だからだ。
原因が一つじゃない時ほど、
慌てず、欲張らず、順番を守る。
それが、結果的に一番早く、
一番確実に直る道だと思っている。

