人脈より大事なもの
経営をしていると、よく「人脈が大事だ」と言われます。
それ自体は間違っていないと思います。
実際、仕事は一人ではできません。
情報も、紹介も、相談も、人とのつながりの中で生まれることが多い。
そう考えれば、人脈が大事だというのは当然の話です。
ただ、自分は最近、少し違うことを思います。
本当に大事なのは、人脈そのものではないということです。
知り合いが多いこと。
顔が広いこと。
いろいろな場に出ていること。
それは一見、力があるようにも見えます。
でも、それだけで仕事が続くわけではありません。
むしろ、その先にあるものの方が大事だと感じます。
それは、信頼です。
どれだけ多くの人とつながっていても、
「この人に任せたい」と思われなければ意味がない。
どれだけ顔が広くても、
「この人なら大丈夫だ」と思ってもらえなければ、仕事にはつながりません。
つまり、人脈より先にあるべきものは、
相手からどう見られているかだと思っています。
人は、思っている以上に見ています。
話し方だけではなく、態度を見ています。
態度だけではなく、判断を見ています。
そして判断の奥にある、その人の考え方を見ています。
約束を守るか。
損得が絡んだ時にどう動くか。
自分に得がない場面でも、誠実でいられるか。
都合が悪い時に、人への接し方が変わらないか。
そういうところに、その人の本質は出ると思っています。
商売は、条件だけでは続きません。
価格だけでも続きません。
最後に残るのは、この人となら仕事ができるという感覚です。
それは、派手な言葉からは生まれません。
実績を並べるだけでも生まれません。
日々の振る舞いや、細かいやり取りや、積み重ねの中でしか生まれないものだと思います。
自分の仕事は空調です。
機械の修理や更新、保守をしています。
けれど、実際に向き合っているのは機械だけではありません。
その機械が止まることで困る人です。
現場を止めたくない担当者です。
暑さや寒さの影響を受ける利用者やお客様です。
だから、自分はいつも思います。
大事なのは、ただ技術があることではないと。
技術は前提です。
その上で問われるのは、
何を見て、どう判断するかです。
今日だけ動けばいいのか。
応急処置でつなぐべきなのか。
今ここで止めてでも根本から直すべきなのか。
更新まで含めて話すべきなのか。
そこには、その人の仕事観が出ます。
つまり、どんな仕事をするかは、
どんな人間かと切り離せないということです。
人脈という言葉は便利です。
でも、便利な言葉ほど、本質をぼかすことがあります。
本当に大事なのは、
何人知っているかではなく、
どんな人だと思われているかです。
そしてもう一つ言えば、
自分がどんな人と仕事をしたいと思うかです。
広くつながることに意味がないとは思いません。
ただ、広さばかりを追うと、関係は薄くなります。
薄い関係は、都合が良い時は動いても、厳しい場面では残りません。
だから自分は、昔からどちらかと言えば、広さより深さの方を大事にしてきました。
誰とでもうまくやりたいわけではない。
でも、関わるなら、相手に敬意を持てる関係でいたい。
その方が、自分には合っています。
結局、仕事が続くかどうかは、
人脈の数ではなく、信頼の質で決まるのだと思います。
顔が広いことより、
困った時に思い出してもらえること。
知り合いが多いことより、
安心して任せてもらえること。
その方が、よほど大きい価値があります。
今の時代は、見せ方が上手い人が多いと思います。
表面を整えることも、印象を作ることも、昔より簡単です。
けれど、本質までは整えられません。
仕事への考え方。
人への敬意。
責任の取り方。
そういうものは、必ずどこかで出ます。
だからこそ、自分はこれからも、
人脈を増やすことそのものを目的にはしないと思います。
大事にしたいのは、
信頼できる人とつながること。
そして、自分自身も信頼される側でいることです。
人脈より大事なもの。
それは、信頼であり、姿勢であり、
その人が何を大事にして仕事をしているかという中身だと思っています。
商売は、人がやるものです。
だから最後は、何を売っているか以上に、
どんな人間がそれをやっているかが問われる。
私はそう思っています。
