冷媒回収中にボンベが熱くなるのはなぜ?

冷媒回収をしていると、最初は順調に入っていたのに、途中から急に回収が鈍くなることがあります。
ボンベが熱を持つ。
圧力が上がる。
回収機の音も重くなる。
現場ではよくある流れです。

特に夏場、高圧冷媒、回収量が多い現場では出やすく、
「回収機の調子が悪いのか」
「ボンベに問題があるのか」
と感じることもあります。

ただ、この現象は機械の故障だけで起きているわけではありません。
冷媒回収の中で、冷媒の圧力、温度、液化がどう動いているかを見ると、途中で回収が鈍くなる理由は説明できます。

今回は、
なぜ冷媒回収中のボンベが熱を持つのか。
なぜ途中から回収が遅くなるのか。
なぜボンベを冷やすと入りが良くなるのか。
このあたりを現場目線で整理します。

冷媒は最初から冷たいものではありません

まず前提として、冷媒は「もともと冷たい液体」ではありません。
冷媒が冷たく見えるのは、低い圧力で蒸発しているからです。

蒸発器の中では、冷媒は低圧側で沸騰しながら熱を吸います。
液がガスになる時には熱が必要なので、その熱を空気や水側から奪います。
だから蒸発器は冷えるし、吸入側の配管も冷たく見えます。

つまり、普段冷えて見えている冷媒は、
低圧で蒸発しながら熱を吸っている状態の冷媒です。

ここだけを見ると、冷媒そのものが冷たい物質のように感じやすいですが、実際は違います。
冷たいかどうかは、冷媒そのものではなく、その時の圧力と状態で決まります。

回収中は、冷媒の置かれている条件が違います

冷媒回収の時は、蒸発器の中を流れている時とは条件が変わります。

回収機は、系統内の冷媒を吸い込み、ボンベへ送ります。
この時は、ただ移動させているのではなく、圧力を上げながら送っているのがポイントです。

気体は圧縮すると温度が上がります。
冷媒も同じです。

そのため、回収機を通ってボンベへ向かう冷媒は、蒸発器で見ていた低圧の冷たい冷媒ではありません。
圧縮されて温度が上がった冷媒です。

この時点で、ボンベが熱を持ち始めるのは不思議ではありません。
冷たい液体を静かに詰めているわけではなく、回収機で圧縮された冷媒を受けているからです。

ボンベが熱を持つのは、ボンベの中で冷媒が液になるからです

ただ、ボンベが熱くなる理由は、圧縮による温度上昇だけではありません。
現場で大きいのは、ボンベの中で冷媒が液化する時に熱を放つことです。

蒸発器では、冷媒は液からガスになる時に熱を吸います。
その逆に、ガスから液に戻る時は熱を放します。

回収ボンベの中では、だいたい次のようなことが起きています。

回収機で圧縮された冷媒がボンベへ入る。
その冷媒がボンベ内で熱を捨てながら液になっていく。
放出した熱がボンベの金属を通して外へ伝わる。
だからボンベが熱を持つ。

つまり、回収ボンベが熱くなるのは、
ボンベの中で冷媒が熱を捨てながら液として溜まっていくからです。

この流れが見えてくると、蒸発器で冷たかった冷媒が、回収ボンベでは逆に熱を持たせる理由もつながります。

蒸発器では熱を奪い、回収ボンベでは熱を捨てています

整理すると、話は単純です。

蒸発器では、冷媒は低圧で蒸発しながら周囲の熱を奪っています。
だから冷える。

一方で、回収ボンベでは、冷媒は高圧側へ送られ、ボンベ内で液化しながら熱を捨てています。
だからボンベが熱を持つ。

同じ冷媒でも、
蒸発器側では熱を奪う側
回収ボンベ側では熱を捨てる側です。

不思議に見えるのは、同じ冷媒を違う圧力条件、違う状態で見ているからです。

ボンベが受けている熱は一つではありません

回収中にボンベが熱くなる時、ボンベが受けている熱は一つではありません。

一つは、回収機で冷媒が圧縮された時に上がった熱です。
もう一つは、ボンベの中で冷媒が液化する時に放出する熱です。

つまりボンベは、

  • 圧縮されて温度の上がった冷媒を受けている
  • その冷媒が液になる時の熱も受けている

この二つが重なっています。

だから、見た目以上に熱を持ちやすいです。
特に、外気温が高い時、高圧冷媒の回収時、回収量が多い現場では、この影響がはっきり出ます。

ボンベが熱を持つと、回収は遅くなります

現場で一番困るのはここです。

回収開始直後は勢いよく入る。
ところが途中から鈍くなる。
圧力も上がる。
回収機も重くなる。

これは珍しいことではありません。

ボンベが熱を持つということは、ボンベ内の冷媒温度が上がっているということです。
温度が上がれば、ボンベ内圧も上がります。

そうなると、回収機はより高い圧力へ押し込まなければならなくなります。
その結果、回収機の負担が増え、回収速度が落ちます。

流れとしてはこうです。

ボンベが熱を持つ。

ボンベ内の冷媒温度が上がる。

ボンベ内圧が上がる。

圧力差が取りにくくなる。

回収機の負担が増える。

回収が鈍くなる。

途中で失速したように感じるのは、この流れで説明できます。

だからボンベを冷やすと入りが良くなります

回収ボンベを冷やすと、途中からの入りが改善しやすくなります。
これは現場感覚だけの話ではなく、理屈でもその通りです。

ボンベを冷やせば、ボンベ内冷媒の温度が下がる。
温度が下がれば、ボンベ内圧も下がる。
圧力が下がれば、回収機は押し込みやすくなる。

さらに、ボンベの中が冷えていれば、入ってきた冷媒も液化しやすくなります。
つまり、ボンベは受け入れ側として有利な状態になります。

だからボンベ冷却が効くのは、感覚的な話ではありません。
ボンベ側の圧力を下げ、液化しやすい条件を作っているからです。

液回収でも、ボンベ側は熱を持ちます

ここは誤解しやすいところです。

液回収という言葉だけ聞くと、
「冷たい液をそのままボンベへ移している」
ように感じることがあります。

たしかに系統内では、液冷媒を先に抜ける場面があります。
ただ、回収機を通してボンベへ送る以上、ボンベ側では圧力条件が変わります。
その中で冷媒は、ボンベ内の条件に合わせて状態を変えながら溜まっていきます。

そのため、液回収という言葉だけで、最初から最後まで冷たい液をそのまま移していると考えるとズレます。
実際には、回収機とボンベの間で、

  • 圧縮
  • 温度上昇
  • 液化
  • 放熱
  • 圧力上昇

こうしたことが同時に進んでいます。

この理屈が分かると、現場の見え方が変わります

この話は、知識として知っておくだけではありません。

なぜ途中で回収が鈍るのか。
なぜ真夏は回収しにくいのか。
なぜボンベ冷却が効くのか。
なぜボンベ圧が上がるのか。

こうしたことが一つにつながります。

冷媒を「冷たいもの」とだけ見ていると、感覚でしか説明できません。
ですが、冷媒を圧力と状態で見るようになると、回収作業で起きていることが理屈で見えてきます。

蒸発器で冷たいのも同じ冷媒。
回収ボンベを熱くしているのも同じ冷媒。
違うのは、冷媒そのものではなく、その時の圧力条件と状態です。

まとめ

冷媒は、もともと冷たい物質ではありません。
低圧で蒸発している時は、周囲から熱を奪うため冷たく見えます。
一方で、回収時には回収機で圧縮され、ボンベ内で熱を捨てながら液化していきます。
だから回収ボンベは熱を持ちます。

整理すると、

蒸発器では、冷媒は熱を奪う側。
回収ボンベでは、冷媒は熱を捨てる側。

回収中にボンベが熱くなるのは、
ボンベの中で冷媒が熱を捨てながら液になっているからです。

そして、ボンベが熱を持てば内圧が上がり、回収機は押し込みにくくなります。
その結果、途中から回収が遅くなります。

冷媒回収で途中から失速する現象は、
回収機の故障と決めつける前に、
ボンベ側の温度、圧力、液化の進み方まで見た方が、現場の状況をつかみやすくなります。

冷媒回収・撤去工事・更新工事に伴うフロン回収もご相談ください

業務用エアコンの更新工事、撤去工事、大規模修理では、冷媒回収は付帯作業ではありません。
回収作業の良し悪しは、作業時間だけでなく、安全性、その後の工程、法令対応にも関わります。

京匠技研株式会社では、浜松市を中心に、業務用エアコン・空調機の修理、更新工事、保守点検だけでなく、冷媒回収およびフロン回収にも対応しています。

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現場条件を見ながら、修理で進めるべきか、更新工事まで含めて考えるべきかも含めて対応いたします。